拠点の現地化を日々の業務を通じて進めることが期待される若手日本人管理者ですが、日本での管理経験の少なさや、日本に製造現場がないための経験不足などから、ベトナムにて管理者としての役割を担うことに苦戦しているという話をよく耳にします。
□成長の機会を活かしましょう
「日本では稟議だ根回しだと、一つの施策の承認を得るのに数ヶ月を要するが、ここでは自分の判断で即座に行動に移せる」と、生き生きとされている経営者の方をまま見かけます。思いの強い経営者の方には、現法のトップとなることは自身の手腕を活かす格好の機会となっているのでしょう。
本社が若手の日本人材に拠点の管理者として赴任を命ずるのも、施策の展開のみならず海外拠点での成長への期待があってのことと思います。
言葉も通じないベトナム人部下を率い、文化も異なるベトナムで管理者として判断・行動することは、日本とは異なる難しさにぶつかる面もあります。しかしながら、まずは日本ではなかなか得られないチャンスをましてや海外で得ることができたと考え、成長の機会を活かして臆せず果敢にチャレンジしてもらいたいと思います。
筆者も、経営者という立場をベトナムにて初めて体験し、苦しみながらも日々楽しんでいます。
□管理の第1歩は目的・目標の設定から
管理は「目的・目標の実現・達成に向けて、経営資源を集め・配置し・活用し・評価する活動」といったように定義されています。ここに見られるように、管理の第1歩は目的・目標の設定から始まります。まま、初めての管理者としての役割にとまどい、管理者として「何をすべきか」に悩んでいる管理者の方を見かけます。まずは「何をすべきか」ではなく「何を成すべきか」を問うべきでしょう。
目的や目標のない管理者の取る行動は管理ではなく、監視となってしまいます。担当部署の目標達成や赴任ミッションである施策の展開、ベトナム人担当者へのノウハウの移転など、管理の目的・目標を見定め、上司の方と握っていただきたくことが管理の出発点と思います。
□管理者なき管理が良い管理
管理行動というと、頻繁に現場を巡回し、こまめに部下に指導することを真っ先にイメージされるように思います。確かに現場の状況をつぶさに把握しておくことや部下とのコミュニケーションを円滑にすることは大切ですが、忘れてはならないのが管理のための風土や仕組み作りです。
「管理者なき管理が良い管理」という言葉があります。管理は複数の人が働く場では必ず必要となりますが、「管理者」は必ずしも必要でありません。管理者がいるとういことは、そこに削減すべき間接コストがあるとういことです。目指すべき管理は管理者がいなくとも現場がスムーズに動き、問題にすばやく対応できるようになっていることです。そのためには、体制を整え・役割を明確にし、手順や標準を構築し、目的や心構えを共有する仕組み作りと風土作りが必要となります。
管理者が不要となるように現場を育てることによって、管理者は本来業務である方針の立案や組織の開発に注力することができるようになります。
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